甘納豆の山あるき

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zoom RSS 5 冬の山はやはり怖い(2015年2月4日)

<<   作成日時 : 2015/02/04 16:21   >>

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 1月31日、北信濃信越トレイルの主峰とも言える鍋倉山(1289m)に登って来ました。山スキーが目的でした。
 ここは、日本有数の豪雪地帯であり、一帯にはブナの森が広がっています。なべくら高原と呼ばれるごとく全体になだらかな山容の山です。冬は、山スキーを楽しむ人が多く訪れる山です。
 あまり良い天気ではありませんでしたが、4人パーティーのうち2名はバックカントリーの大ベテランでしたし、自分自身も昨年一度ここを滑っていました。多少の不安はありましたが、さほど心配はしていませんでした。
 天気予報も、新潟から東北・北海道にかけては発達した低気圧の影響で大荒れの天気ということでしたが、長野方面は比較的良さそうだと言うことで出かけたのです。

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 でも、予定通りいけば楽しい満足の1日だったと思うのですが、思わぬアクシデントが起こるのも山の摂理、大自然の真っただ中にはリスクも付きまとっていることを心底味わった1日になってしまいました。
 楽しかったレポとしてまとめることもできますが、やはりここは、将来に禍根を残さないためにも山で起こった事実をしっかり検証しておいた方が良いように思いました。

 この日の行程と歩いた軌跡は次のようなものです。

 新潟(5:45)=越後川口IC=(R117)=温井集落除雪端(9:00-30)…小屋(10:10)…山頂直下1260m(12:10-55)…小屋(14:25)…温井集落(15:30)=新潟(19:30)

             登り;2H40’ 下り;2H35’
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                       登り;赤  下り;青

 お気づきと思いますが、登りと下りの時間がほぼ同じです。山スキーなのですから、登りは登山と同じでも下りは30分もあれば十分のはずです。そうなのです。下りも歩いたのです。

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 入念に準備をして、温井集落の除雪端の駐車場を出発しました。車は全部で7〜8台。ほゞみなさんは出発していました。ただ、だだっ広い高原ですのでどのルートを登るかは様々です。

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 歩き始めは雪が深々と降っていました。しかし風はありませんし、降るのは午前中だけという予報でしたのでまったく気にしていませんでした。

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 40分ほどで小屋に着きました。一休みします。しかしこの小屋はいわゆる避難小屋ではありません。個人の持ち物で別荘的に使っているのだそうです。勿論、勝手に入る訳にはいきません。どうやら2階の出入り口を使っているようです。1階部分は雪に埋もれているのです。

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 ここからは本格的な山登りです。ご承知と思いますが、スキーは滑る道具ですが、ふかふかの雪山では最も有効な登るための道具でもあります。
 ゲレンデスキーとの違いは、板が軽量幅広でファットという特徴はありますがそれが決め手ではなく、山スキー用ビンディングとシールを使うことが大きな違いです。
 山スキー用のビンディングは、これが無くては山スキーはできないといっても過言ではありません。すなわち、歩行・登高モードと、滑降モードの切り替え機構があって、歩行・登高モードでは踵がほぼ90度まで上がり、スキーを履いたまま容易に歩くことができて、滑降モードでは踵を固定しアルペンスキーの滑降技術で滑ることができるというものです。
 また、シールはヒールアップビンディングと組み合わせて、スキーを履いたまま山の斜面を登るためのスキーのソールに貼り付ける滑り止めの毛皮みたいなものです。ちなみにシールとはアザラシを指します。昔はアザラシの毛皮でできていたそうです。これも山スキーには無くてはならないものです。
 雪山を登るための道具には、ワカンやスノーシューがありますが、ふかふかの雪の場合、その沈み量はスキーが圧倒的に有利です。今日の雪の場合、スキーでの沈み込みは10〜20cm程度でしたが、これがスノーシューだったら膝下、ワカンだったら太ももあたりまで潜ると思います。
 地形にもよりますが、シールを付けたスキーは、遙かに少ないエネルギーで雪の山を登ることができます。

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 さりとて雪の山、いくらスキーを使っているとは言え、相当な労力を使います。夏道を登るのに比べたら何倍も疲れます。冬の山は、登山も勿論ですが体力勝負の世界です。
 雪もいつの間にか止んでいました。雪を被った木々をを見ながら気持ち良く登りました。これで陽が射してくれれば最高なのにとは思いますが贅沢は言いません。

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 鍋倉山は関田山脈のほぼ中央に位置していますが、樹齢300年と言われるブナの森、雪中トレッキングで人気のある森太郎、森姫と名付けられたブナの大樹があるところです。
 我々も大きなブナの傍らで休みます。ここの積雪はどのくらいあるのでしょう。想像もつきません。

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 だいぶ登って来ました。もう一息でなだらかな頂上に乗るのですが、風がものすごく強くなってきました。その上雪も降ってきて、地吹雪と合わせて猛吹雪の様相を呈してきました。勿論自分らのトレースは瞬く間に消えていきます。ここで引き返すことにしました。
 ランチタイムでしたが、そんな悠長なことは言っていられません。軽く携行食を口に入れ滑降の準備を始めました。ザックを開けると雪が容赦なく中に入って来ます。それに気温もぐっと下がり凍えるような寒さです。手袋を脱ぐ訳にもいきませんのでどうしてもまごまごしてしまいます。
 その時アクシデントが起こりました。シールを外し、ビンディングを固定し、靴を置いてぐっと踏み込んだのですが靴がすぐに外れてしまいます。雪でもついているせいかなと払い落としながら3回ほど試みましたがダメでした。良く見ると、何とビンディングの踵を押さえるプラスチックの部品が割れていたのです。
 愕然となりました。1本スキーで滑り降りる技術など毛頭持っていませんし、壺足で降りれるような状況ではありません。どうしよう、青ざめました。
 仲間が寄ってきていろいろ知恵を出してくれました。滑るのは無理でも何とかスキーを履いて降りなければなりません。外したシールをもう一度ソールに貼って、しかし容赦なく吹き付ける吹雪のためうまく貼れません。強引にテープで留めました。さらに、靴とビンディングをテーピングテープでぐるぐる巻きに固定しました。まるでギブスを付けたようでした。その上をビニールテープで巻き、さらにロープで縛ろうとしましたが、とりあえず歩いてみてその上でロープで縛るか考えようと思いました。とにかく一刻も早くその場を脱出するのが先決でした。
 シールを付けたスキー、登るには実に便利な道具なのですが、これで歩いて降りるということが実にきついアルバイトとは思いませんでした。シールを付けていてもある程度の斜度になりますと滑ります。しかし、コントロールが効きませんし、強力なブレーキを掛けながら滑るようなものですので足への負担は半端じゃありません。いくらも降りないうちに太ももの筋肉が悲鳴を上げてしまいました。あとは一歩一歩降りしかありませんが、足への負荷は登る時以上のものでした。どこまで続くのか、弱音を吐いたらお終いだと言い聞かせながら必死で歩きました。
 この間、仲間はずっと側について一緒に降りてくれました。自分はゆっくり降りるからどうか先に行ってくれと言いましたが、パーティーが離れたら遭難すると言って頑として側に付いていてくれました。
 確かに、雪の尾根を下る時のコース取りは難しいものです。谷には相当な雪が積もっていますので、尾根の分岐点が非常に分かりづらいのです。歩いた軌跡を見ていただくとお分かりと思いますが、下りの青い線は、4〜5箇所でルートを外しています。どこか景色が違う、あるいはもう1本尾根があるぞと気が着くたびにGPSでルートを確認し軌道修正して進むのです。
 ただ、GPSがあれば大丈夫と思っては決していけません。ルート逸脱、道迷い等が起こるのは大体悪天候の時なのです。吹雪の中、GPSを取り出すにも見るにも至難の業なのです。
 でも、何とか明るいうちに温井集落の除雪端の駐車場に降りてきました。車は我々の車ともう1台のみ、それは山小屋風別荘の持ち主のものと思います。本当に無事で良かった。

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 最近、バックカントリーでの遭難が問題になっています。昨日もNHKの「クローズアップ現代」で取り上げていました。
 ただ、論点はスキー場外での事故多発が焦点で、雪山に不慣れな人が安易な気持ちでコース外に出て事故を起こすというものでした。これには、道具の進歩も原因の1つと挙げられていました。
 そもそも山スキーは、今までは、山に長けた人、技術のある人のみに許された、またそういう人しか行けない世界であった。それが雪山の知識も経験もない人がバックカントリーと称して安易に入っていることが問題だと。
 ここで、自分はどうなのかとふと思いました。確かに、雪山に登る装備はすべて背負っています。いざという時のための非常食やツェルトやロープも入っています。しかし、それらを果たして使いこなせるのだろうかいささか疑問になります。それらが必要な時は恐らく相当過酷な状況下です。そんな経験などしたことはありません。
 そこで思います。遭難してからあるいは事故にあってからではなく、いかに遭わないか、いかに避けるかを考え実践することなのだと思います。
 NHKの番組で、冬山の三種の神器は、電波で位置を教える“ビーコン”、埋まった人を探す金属の棒“プルーブ”、掘り出すための“携帯スコップ”と言っていました。しかし、良く考えてみてください。雪に埋まった人の生存の可能性はわずか15分です。たとえ持っていても助け出せる確率は極めて微小と言わざるを得ません。この場合は雪崩に遭遇しないことに徹するしかありません。
 次に道具類です。事前の点検は勿論ですが、その構造や使い方は熟知していなければなりません。今回その道具のうち、ビンディングが割れるというトラブルが発生しました。それ自体猛省しなければなりませんが、それでもアクシデントは起こります。その時、行動するための最低限の機材、用具を持っていくこと。具体的には、ドライバー、プライヤー、ガムテープ、ビニールテープ、針金、ビス類、接着剤、等々などでしょうか。今回は、怪我のためにと持っていたテーピングテープが役に立ちました。

 恥ずかしながら自分の経験を書きました。何かの参考になれば幸いです。
 
 



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コメント(17件)

内 容 ニックネーム/日時
お友達が一緒で、ほんと〜に良かったですね。
私は鍋倉山はスノーシューで登った事があります。
山スキーの方達とは登りはほとんど同じペースで登れますが下りはいつも羨ましく眺めています。

スノーシューのベルトが切れてマジックテープでぐるぐる巻いた経験があります。
izumi
2015/02/04 18:43
こんばんは。レポ興味深く拝読しました。

どんなに経験を積んだとしても、アクシデントがひとつあれば遭難につながる。そういうことですよね。
できることは、想定されるトラブルを一つ一つ排除して、備えるしかないんでしょうか。
心して山に入らなければと気持ちを引き締めました。貴重な体験をレポしていただいてありがとうございました。

わら
2015/02/04 23:43
izumiさん
 izumiさん達の鍋倉山スノートレッキングのレポは覚えています。温泉とセットで楽しまれたご様子、この辺はのんびり歩くには本当に良い所です。
 ただ、時期にもよりますね。もう少し経つと、3〜4月頃になると雪が締まってきますし、天候も安定しますので歩き易くなります。今の時期はどちらかというと山スキーヤーの喜ぶ時期です。皆、パウダースノーを求めてやってくるのです。
 山でのアクシデントはどうしても避けられませんので、最低限の準備は必要ですね。自分のワカンの紐はもう原形をとどめないくらい修復されています。
甘納豆
2015/02/05 08:52
わらさん
 おはようございます。
そうなのです、今回はまだ早い時間帯でしたので落ち着いて行動できましたが、もし夕暮れが迫っていたらと思うとぞっとします。
 往々にして慣れが油断を招きます。常に気を引き締めて臨みたいと思います。
甘納豆
2015/02/05 08:57
PeRoさん、izumiさん、MORINOBUNAさん、ハンスさん

気持ち玉ありがとうございました。
甘納豆
2015/02/05 09:00
ドタキャンすみませんでした。山は何でもアリということですね。ヤマスキーの最低の修理具は、個人装備か共同装備にするかは別として、絶対必要ですね。今度、なにが必要か、検討しましょう。それにしても大変な経験をしましたね。私も参考にしたいと思います。
トラキチ
2015/02/05 13:20
こんばんは
無事下山出来て良かったですね。
出かける前にしっかりと装備品のチェックをして出かけても寒さと雪で、雪山では突発的なアクシデントは付き物だと心得ていても、大変でしたね。
鍋倉山の近辺は、低くて緩やかな山ですが、これが真冬ともなると大雪を降らせる場所で、短時間で想像を絶する雪が積もり、緩やかな斜面と思っても、こんな場所で? と思うような場所で雪崩が発生する可能性も大です。
本当に雪山の怖さを知る人は、この時期には近づかないと思うのですが、大ベテランの会の皆さんが何故この時期にと思いました。
リッキー
2015/02/05 19:53
トラキチさん
 怖いと表現しましたが、実際はそれは降り切った時に感じたものです。行動中は、時間もたっぷりありましたので何とかなるさと落ち着いていました。ただ、猛烈に疲れましたし、同行の仲間に申し訳無いという意識が強かったように思います。
 山スキーの装備の件は検討の余地ありですね。
甘納豆
2015/02/05 22:22
リッキーさん
 ありがとうございます。
 冬山で一番怖いのはやはり雪崩です。鍋倉山はその点大丈夫とは思っていても絶対ということはありません。今回、大ベテランが同行してくれていましたので最も安全なルート取りをしています。それでも時には急斜面もありますが、その際は密な林を選んだりしています。でも近寄らないことに越したことはありませんね。
甘納豆
2015/02/05 22:31
カスミッシモさん、リッキーさん、青木院長さん

気持ち玉ありがとうございました。
甘納豆
2015/02/06 16:56
 いや〜、大変な目に遭いましたね。ビンディングの靴抑えの取手が割れたということですよね。
そうしたアクシデントは聞いたことないです。どうしたんだろう?、永年使い込んで疲労破壊でしょうかね。
 ともかく無事に帰還で来てなによりでした。
山いろいろ
2015/02/07 16:58
甘納豆さん、初めてのコメントです。
以前から楽しく拝見していました。

このたびは大変な目にあったようで申し訳ありませんでした。
問題のビンディングは私が2005年から使い込んだものでした。
HさんNさんからお聞きしました。

是非TLTに交換を!
新しい世界が広がります。

YA
2015/02/08 21:35
山いろいろさん
 まさか壊れるとは思ってもいませんでした。
 割れたのはプラスチックの部分です。経年劣化か微小クラックが入っていたのかもしれません。あるいは、ふかふかの雪の上で板が安定しないところで強引に靴を押し込もうとして無理が生じたのかもしれません。気温はマイナスでしたが強烈に寒いという訳ではありませんでした。
 いずれにしても、プラスチックの部品は注意が必要だと思いました。
甘納豆
2015/02/11 13:25
YAさん
 訪問ありがとうございます。
また、ビンディングを譲って頂きありがとうございました。
山スキーなぞ遠い世界と思っていましたが、おかげさまで冬の山の別の楽しみを教えて頂きました。まだまだ未熟ですが、身体が動く限りスキーを履いて冬の山を楽しみたいと思います。
 このたびのビンディングのトラブルは予期せぬことでびっくりしましたが、時間も十分ありましたし、頼もしい仲間も居りましたのでノープロブレムです。この先どうするかゆっくり考えます。
 ありがとうございました。
甘納豆
2015/02/11 13:35
Chiakiさん
 宝登山、日向山と楽しんでおられますね。
気持ち玉ありがとうございました。
甘納豆
2015/02/11 13:49
私の所属するBCスキークラブでもビンディングが壊れた事故がかなり発生してます。やはり針金やペンチは必需品ですね。
KEN
2015/02/11 16:55
KENさん
コメントありがとうございます。
針金やペンチは必需品、肝に銘じておきます。
今回、ナマシ鉄線も持っていましたが、これは登山中に靴底が剥がれた時の修復用で、ビンディングを結束するような強度はありません。
スキーの世界の奥の深さを感じます。
甘納豆
2015/02/12 14:14

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5 冬の山はやはり怖い(2015年2月4日) 甘納豆の山あるき/BIGLOBEウェブリブログ
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